有名なのは本人よりも下僕の方。
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#これはカジュアルプレイ・初心者・初級者の方をメインに見据えた記事です。
中・上級者の方はニヤニヤしながら適宜アドバイス下されば助かります。
さて、使ってみませんか?とは言ったものの、実はMTGには「鬼」という部族、クリーチャータイプは存在せず、すべて「デーモン」という扱いになっています。
「吸血鬼」なら部族でもありその血族は豊富にいますし、いわゆるグールの「食屍鬼」や表現としての「悪鬼」ならばいくらでも出てくるのですが、今回は(大体)神河次元に住む「ONI」に限定した話です。
実は鬼は、誰もがパッと思い浮かべられる割には非常に曖昧な存在です。
何を目的としたどんな存在なのか、思いつきますでしょうか?
かつて様々な事象に対して明確な原因を特定できていなかった時代、例えば干魃や雷、洪水などの天災は「神の怒り」とすることで恐怖心との折り合いをつけていたわけですが、さらに身近な「恐怖」や「不安」までもを神のせいにするのはスケールの都合が合いませんでした。それらは個人の中にあるものですから。
そこで出来上がった概念が「厄」です。厄は数多の地域・個人の不安要素を取り込み、また事象に即して適切なアウトプットを行いました。
山中で起こる厄には「天狗」の姿を、水辺で起こる厄には「河童」の姿を、といった具合です。そして割り振りの成されたなった膨大な残りカスが「鬼」となりました。
彼らには、死や暴力に対する「恐怖」と未知のモノにたいする「不安」がそれぞれ与えられました。
この「不安」は良い悪いという判断ではなく、その地域内においての異文化への防衛本能とも言えるもので、例えば河童は治水の技術を持った人々、天狗は鍛治などの職能者といった(当時の)先端技術職人などの要素も含まれていると言われています。
つまり鬼とは、その文化・常識の中では整理しきない厄をまとった埒外の異邦人という「なんだかわからないけど怖いもの」だったわけです。
鬼の容姿としてまず思いつくものといえば、角ではないでしょうか。あの角は牛の角であり、身にまとっている腰巻は虎の毛皮なのですが、これは陰陽道で鬼門を位置する丑寅(うしとら)から来た要素だと言われています。また凶悪な表情や地獄の獄卒としての役割は仏教の羅刹天からの引用だというのが通説です。
これらは言ってしまえば「恐怖や不安」に後から吸収され合併した要素ですが、それまでもやもやとしていた「なんだかわからない」鬼という存在を引き立てる説得力に長けていました。やはりビジュアルは大切です。
陰陽道といえば平安時代に隆盛を誇ったものですから、それ以前の鬼はそういったパブリックイメージを持っていなかったのでしょう。
例えば秋田県のなまはげは、「年に一度」「持ち物や衣装が決まっている」「腰巻姿ではない」など、地域色が強く残っていることから「鬼ではなかった時代」の長い鬼なのではないかと思います。
しかしそんな地方の鬼をも飲み込むほど、完成した鬼にはカリスマがあったわけです。
そもそも鬼という名前は、中国では「死霊」のような意味で使われます。「魂」の字に含まれているように実態のないものだったのですね。
だからこそ吸収できた膨大な厄が、荒々しい要素をまとった人の形をとったわけですから、これはもうまさに歩く災厄の象徴、暴力の化身としてふさわしい存在となったのです。
ではそんな鬼がMTGではどのように表現されているのか、ご覧ください。
・痛めつける鬼 / Painwracker Oni
・内臓捻りの鬼 / Gutwrencher Oni
・野蛮な地の鬼 / Oni of Wild Places
・剃刀顎の鬼 / Razorjaw Oni
・静刃の鬼 / Silent-Blade Oni
■設定が(多分)鬼
・奈落の君、苦弄 / Kuro, Pitlord
・血塗られしもの、死祭 / Shimatsu the Bloodcloaked
・蝕まれた正気、凶鬼 / Kyoki, Sanity's Eclipse
・囚われしもの、幽孤羅 / Yukora, the Prisoner
・初めて苦しんだもの、影麻呂 / Kagemaro, First to Suffer
このイラストや名前から溢れ出すパワーと不安感、伝わりますでしょうか。
痛めつけたり内臓を捻ったり真実も捻じ曲げてみたり、かと思えば囚われたり苦しんだりと自由奔放。パワー/タフネスも9/9〜0/0までとまさに「なんだかわからない」状態です。
《囚われしもの、幽孤羅》は「鬼」の本来の意味に近い「幽」と羅刹から一文字ずつ名付けられていて、こちらもなんだかわからないのに妙にしっくりくる名前になっています。
そして《静刃の鬼》は神河から時代を経てプレインチェイス2012で初登場した最も新しい鬼の一族。
鬼かつ忍者という本国でもなかなか見られない組み合わせといい、鬼の新時代を率いてくれそうな予感がヒシヒシとします!
まあ、同じセットに彼女もいたんですけどね。
あなたのデッキ作りのインスピレーションにつながればさいわいです。
マジック・ザ・ギャザリング
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