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実は一番好きなクリーチャー。


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#これはカジュアルプレイ・初心者・初級者の方をメインに見据えた記事です。
 中・上級者の方はニヤニヤしながら適宜アドバイス下されば助かります。

…という書き出しではじめさせてもらっているこのシリーズ(?)も10回目を迎えることができました。
これもひとえに皆様のおかげ、と畏るのもなんだかいやらしいのでやめておきますが、モチベーションを保てているのは反響をいただけたからに他なりません。本当にありがとうございます。

趣味だろうが仕事だろうが、継続のためには何らかのやり甲斐が必要になります。むしろ「やらなくても支障ない」以上、趣味のほうがそれを求める部分は大きいのでしょう。
およそ5年前、『新たなるファイレクシア』が発売された頃に私はMTGをはじめたんですが、ありがたい事に何人かの「同期」と「指導者」がいまして、同期とは切磋琢磨を、指導者からは奥深さを教えてもらう事ができました。
まあしかしこの指導者が容赦のない男で、エントリーセット(「貪り食う空」でした)に幾つかのパックを組み合わせてガイドブックを読みながら進める初心者に対して《墨溜まりのリバイアサン》を2ターン目にリアニメイトしてくるという始末で、それ以来私は深刻なリアニPTSDに罹患してしまったのでした。

ここで「オウ、イッツクソゲー」と投げ出すのはとても自然な流れだったのですが、どうせ辞めるなら他の同期より早く指導者を負かせてから辞めよう、という暗い欲望に火がつきました。幸か不幸か、それは同期内でほぼ共通の認識でした。
ある同期は過去の大会の優勝者デッキを模倣し、ある同期は最新環境のパワーカードを集めました。そして私が望みを託したのはエントリーセットにも入っていたあるコモンのクリーチャーでした。

i1
Mortis Dogs / 死の犬 (3)(黒) クリーチャー — 猟犬(Hound)

死の犬が攻撃するたび、それはターン終了時まで+2/+0の修整を受ける。
死の犬が死亡したとき、プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはこれのパワーに等しい点数のライフを失う。

2/2
当時考えていたことはとても単純で「どれだけ劣勢だろうがこいつをパワー5以上にして、殴って投げ飛ばせば勝ちじゃん」という、つまり地雷デッキに手を出してしまった訳です。
色は赤黒。豊富な除去で道を切り開きながら、装備品とパンプアップ呪文、そして群れる《死の犬》を搭載したこのデッキは当然のように弱く、夢想していたポテンシャルの半分も発揮できず無残に散っていきました(主に《等時の王笏》に刻印された《火+氷》のせいで)。
だがしかし、一瞬の隙をついて《死の犬》に《逆刺の戦具》を装備させた瞬間の緊張感は、原体験として忘れる事はできないでしょう。

ちなみに《逆刺の戦具》、こんなんです。
i2
Barbed Battlegear / 逆刺の戦具 (3) アーティファクト — 装備品(Equipment)

装備しているクリーチャーは+4/-1の修整を受ける。
装備(2)

自分で言うのもなんですが、こんなものに頼って勝とうだなんて相当イカれてるんですが、装備させた時は本当に血が滾った。誰も見向きもしないみすぼらしい野良犬が、不恰好な手綱と未熟な指示の元でウルザブロックからの歴戦プレイヤーの喉元へ噛みかかったのです。まあ、案の定返り討ちにあったんですがね。


結局その時の興奮が忘れられず、5年が経ち今ではすっかりMTGは趣味だと言えるところまで来てしまいました。
その間いろんなカードやフォーマットに手は出しましたが、競技レベルではなく、能力の挙動も間違える、カードのチョイスもバラバラならやってる事は一発屋。
それでもこのゲームはとても楽しいです。

「#これはカジュアルプレイ・初心者・初級者の方をメインに…」なんて書き出しでやってきましたが、実はこれ半分くらいウソです。
私はたまたま恵まれた環境にいましたが、そうでない方もいるでしょう。レベルやプレイ内容に関係なく、始めたくても始められない人、何が面白いのか模索している人、他人の評価に怯える人もいるかもしれません。もしかしたら、他人のプレイを見下している上級プレイヤーも。
そんな人達に「こういうバカなのも面白そうじゃない?」と言いたいが為にはじめたこのシリーズ、よく言えば貰ったものを返している恩返しなのかもしれません。半分くらいは「わかってくれぇぇ!」という魂の叫びなんですけどね。

そうしたものが、あなたの新たなるデッキ作りのインスピレーションに繋がれば幸いです。

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